キマイラ
そう叫んだのに、女の子は振り返らなかった。
俺がいたのは最初から知ってたらしい。
やっぱり見つかったって俺のことだろうな……。
ああ、もうどうにでもなれ!!
「殺しはダメだ!!」
「君は後で殺してあげるからそこで待ってなさい」
そんな言葉漫画の中でだけだと思ってた……。
恐い!!
けどしつこくお節介の俺。こんな時ぐらい抑えればいいのに、
「き、キマイラさん!!やめろよ!!」
俺はしゃしゃり出る。
名前を呼ばれたからか、女の子がこちらを振り返った。
口元は隠していなくて、サングラスをしていた。
「…………」
キマイラさんはこちらをじっと見つめてくる。
サングラスの奥の瞳で何を考えてるのかわからない。
恐かった。
刃物を持ってる様子はないが一瞬で一刺しされるかも。
「なんでここにいんの」
「え……」
そう言われても。
「なんでキマイラって名前……」
「いや、さっき聞こえたので……そういう名前かな?と思いました……」
恐いので口調は自然と敬語になります。