キマイラ
キマイラさんは呆れたようにため息をつくと、俺たちの会話を怯えたように眺めていた男に向き直った。
男に近づく。
そして男の頭を鷲掴みする。
サングラスを取り、男と目を数秒合わせたと思うと、男の頭をグラグラと回した。
そして何回か回すとそのまま地面に捨てるように男の頭を放した。
男はピクリとも動かず、死んだように倒れている。
俺はその行動に驚き、止めることも何か言うこともできなかった。
「お、おい……」
死んだのか……?
動揺する俺にキマイラさんは静かに言う。
「気を失ってるだけよ。記憶は無くしてるけどね」
「……」
どういうことだ。
記憶を無くしてるって……。
俺の方に振り返ったキマイラさんを見るとサングラスをしていない。
黒い瞳だった。
うん、日本人顔。
顔だけだと普通に可愛い……。
「何……」
俺がガン見してるのを不思議に思ったらしい彼女。
「いや、サングラスかけてないな……と」
「あ」