キマイラ



「さ、帰りましょ。家まで送ってあげる」

「えっ!?」



そう言ってキマイラさんは歩き出した。
え?
この男は!?
なんで送られるの!?

俺が戸惑っていると、彼女はフッと笑った。



「そのおじさんはほっといても大丈夫。もう辺りは暗いし危険だよ」

「いや、俺男だし」

「男でもこんな命の危機に遭うんだよ」



そう言って男を指差すキマイラさん。
笑って言ったのが恐かった。

俺は逆らうことも出来ないのでそのままキマイラさんに送られることになった。

キマイラさんはサングラスかけただけの姿なのに人にばれてない。
ばれないものなのか?



「あのキマイラって本名ですか?」

「違う」



だよな。
そんな名前の日本人見ないよ。

帰る途中、無言の空気が嫌なのでXのことについて聞いて見たのだが、



「……そういうこと聞いてきていいの?」



キマイラさんは逆に聞いた。



「え、なんで」

「抱える秘密が多いと、人は話したくなるものだよ。しゃべったら殺されるの分かってる?」



ハッとし口元を抑えた。
俺のバカ!
リスクが増える!!





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