キマイラ



「愛澤さん、おはようー」

『……』



彼女が教室に入ってきたら欠かさず挨拶をする。
しかし毎回のごとく無視。
俺をスルーして自分の席へつく。

そして机に突っ伏し寝てしまう。
授業中いつも寝ている。
先生は気付いないのか無視してるのか注意をしない。

彼女が起きてるところはほとんど見ない。
テストとか大丈夫なのだろうか?



「春樹かわいそー。愛澤さんって態度悪くない?」



俺の近くに来て女子が言った。
クラスの奴らは俺が愛澤さんに構うのに呆れている。

最初は俺が頑張っているところを見て協力して、彼女に話しかける奴もいたが、冷たい態度に負けて、話しかける奴はもう俺しかいない。



「お前、もうやめたら?向こうだって迷惑してんじゃね?」

「何言ってんの。まだ半月も経ってないんだからさ」



俺はしつこい。





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