キマイラ
元気を少し取り戻し、窓側で屯(たむろ)ってる男子たちの会話に入ろうとしたらいきなり地雷が待っていた。
くそー!!迂闊に近づけねー!!
「ねぇ、春樹!」
「んあ?」
諦めてふて寝でもしようかと席に戻ると、美奈が来た。
あ、やべ。
「昨日どうしたの?大丈夫だった?何かに巻き込まれなかった?心配だったんだからね!?」
ケータイの充電が切れていたので気付かなかったが、朝ケータイを確認してみると美奈は何回も電話をかけてくれていてメールもきていた。
「あ、わりぃ。えーと、何でもなかったんだ」
……この会話も危ないぞ。
ポロリ避けねーと!
「すごい悲鳴だったけど……」
「ホントに何にもなかったって!」
「……そう?」
いい言い訳が見つからないから何もないと言うしかない。
美奈は腑に落ちない様子だけど追求してこなかった。
助かった!
それにしても、言ってはダメなことって意識するときつい。
俺の場合、意識してないのも危ないから大変だ。
ため息が出た。