キマイラ



急いで彼女に駆け寄って体を抱き起こす。
彼女の後ろを走っていた人も急いで駆け付けてきた。



「大丈夫!?」

「どうしたの!?」

「先生ー!!」



突如の事態に数メートル先にいる先生を急いで呼ぶクラスの奴ら。
愛想悪い態度の愛澤さんでもこういう時、ちゃんと心配してくれる。


熱中症か?
彼女の顔を見ると顔色が悪い。



「愛澤!大丈夫か!?」



向こうから先生がそう言いながら急いで走ってくる。

けど、俺の目線はその横をものすごい速さで追い抜き、こちらに向かって走ってくる、

早瀬にいっていた。



え、早瀬?



追い越された先生なんて驚いて足を止めてしまった。

そりゃそうだ。
今まで見たことない速さだ。
人ってあんなに速く走れるのか?
って疑問に思った時には、早瀬はもう目の前にいたんだ。

そして愛澤さんの両肩を勢いよく掴み、自分と向き合わせる。

愛澤さん奪われた……。



その行動も驚いたが、もっと驚いたのは、



「おい!メイ!!しっかりしろ!!」



早瀬は愛澤さんをメイと呼び捨てで呼んだんだ……。





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