キマイラ
「……」
『まぁ、そうなんだけどね』
「……」
『騙されたって思ってる?』
「……」
『心配してくれた人を平手打ちしちゃうような酷い奴って知ってショック受けてる?』
「……」
『お礼の一つ言えない奴だって呆れてる?』
「……」
『でも残念だったね。それが私なんだよ』
珍しく饒舌になっている愛澤さん。
愛澤さんの言ってることは全て頭に入ってくるし、理解している。
けど俺は何も答えられなかった。
言葉を失っていた。
『これがここでの私で……』
「愛澤さん」
『……』
「……なんで」
泣いてるの?