キマイラ
『……それもムリ』
「愛澤さん」
『……』
「俺がしつこいの知ってるよね?」
『…………だ、だって』
「だって?」
顔は恥ずかしさで完全に俯いてしまった。
声が小さくなってしまう愛澤さん。
俺は注意深く聞こうと彼女に顔を近づける。
それに気付き愛澤さんは俺から逃げるように壁側に咄嗟に離れた。
『ち、近い!!』
「だって聞き取りにくいし」
俺はベッドに腰掛ける。
…………なんかベッドがギシッといって、ちょっと変な気起きそうで怖いんだけど。
いや、忘れてたけどここ保健室じゃん?
で、俺らベッドじゃん?
おまけに愛澤さんがすごく可愛いし、俺の心臓バクバクだし……。
俺今ナチュラルに顔近づけてたし、あ、無意識だったから今気付いた。
……落ち着け!紳士の春樹様どこいったァ!!
『声は出すから近づかないで!』
近づかないではちょっと傷つくなぁ。
「じゃあ教えてくれるんだ」
『……っ!!』
彼女の顔は林檎のように真っ赤。
大丈夫かな?倒れたりしないよな?