キマイラ

しゃべればしゃべるほど、彼女は自分を追い込んでいる気がする。
自分はバカだからと言っていたのは、しゃべると墓穴を掘ってしまうのを自分で知っているからか。

だから黙ることにした。

確かに愛澤さんなら、思わずしゃべってしまうかもしれない。



『なんで聞くの……』

「言ってんじゃん。愛澤さんを知りたいから」

『聞いても得しないよ……』

「損もしない」

『……ねぇ、私、具合悪いから寝てもいい!?』

「うん、理由聞いてからね。言ったでしょ？俺しつこいよ？」

『……』



あ、泣きそう。
涙目になっていたが、目に涙を浮かべている。
少し動いたらすぐ雫が落ちそうだ。

意地悪してるつもりじゃないのにな……。

そんなに言いたくないの？
……てかそういえば、さっきからなんで恥ずかしがってんの!?
恥ずかしいことなの!?


俺が愛澤さんの反応に困ってると、愛澤さんは自分の腕を目に押し付けた言った。





『だって……、寅沢くんに嫌われるって思ったら、止まらなくなっちゃったんだもん!!!!』