意地悪な君が好き
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『美紅最近おかしくないか?』
咲弥は私の顔をじっと見て呟いた。
なんだかずっとあの日から落ち着かない。
だって、咲弥と離れちゃうんでしょ。
『美紅、言ってみろ』
「さく…や。」
咲弥はそっと私を抱きしめてくれた。
頭を撫でて、『言ってみ?』って優しい口調で。
「私、1ヶ月後…」
『1ヶ月後?』
こんなに近くにいてくれる咲弥が大好きなのに。
この温もり、消えちゃうのかな?
「東京に転校するって、お父さんの会社のつごうで…」
『嘘だろ』
私も嘘と信じたいよ。
だけどね…
本当なんだって。