意地悪な君が好き
─放課後─

『はぁ~あ』


あくびをしながら起きた葵。


それにしてもよく寝てたなぁ──。


寝すぎって感じする。



『お前、部活は?』



あくびをしたせいか涙目になってる。



「入ってないよ。葵は?」


『してない』


ちらりと私を見た。


「あっ、数学の時、答え教えてくれて、ありがと」



あの時、教えてくれなかったら、私、恥ずかしい思いしてたし。



『お前がいつまで経っても答えないから』


ふっと笑う葵。


さっきからお前、お前って。



「お前じゃなくて、空乃美紅って名前があるの!
だから名前で呼んで?」


『はぁ?』



相変わらずツンツンしてる性格。



「なんで嫌なの?」


『だれも嫌とは言ってねぇだろ? “美紅”』



い、今、みくって言った?



「もう一回言って?」


『美紅』



しゃね~から言ってやるよ。



ん?

ずっと下を向いて動かない。

俺、まずい事した?



『ごめん』


小さな声で誤った。


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