意地悪な君が好き
咲弥はロールケーキを一口食べた…─。

どうせまずいとか言うんでしょう?

もうわかってる。



『うまい』


「本当に?」



咲弥はふっと笑って、『嘘はつかねぇよ』っと言って、また食べた。


まさか、私の思っていた事の真逆の事を言ってくれるなんて…

しんじられない。

だけど、凄く、嬉しかった。



「良かった…」


『やるときは、やるんだな?』



ごちそうさまって言って髪を書き上げた咲弥。

その時、またあの時と同じ、甘い香りがした。



「ちょっとは見なおした?」


『全然』



即答で返ってきた。

いつもいつも、意地悪な言葉は即答で返事してくる。



「やっぱりまだまだだよね…」


「痛!!」



私のおでこに急に、でこぴんされた。

それがちょっぴり、嬉しかった気がする…



『“また”食わせろよ?』



私の前で、笑顔で言ってくれた咲弥。



「約束する!!」


『あぁ』



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