意地悪な君が好き
咲弥の家は相変わらず静かだった。



『俺の部屋で待ってて』



階段を上がってゆっくりドアを開けてみた。

やっぱり男子ってシンプルだなぁ。

ベッドに机に本棚…それぐらいしかない。



『入れば?』

「うん」



私はミニテーブルの側に座った。

咲弥はコップにりんごジュースを入れてくれた。



『俺と秋斗は生き別れた双子。

親が俺が6才の時に離婚し、俺は母さん、秋斗は父さんについていってた。

まさかあいつと同じ高校だとは思わなかったけど…』

「仲…悪いの?」



咲弥はりんごジュースを一口飲んで答えた。



『よく喧嘩して怒られてた』



咲弥が喧嘩なんて似合わない。

でも、空賀君を殴った所はちょっとかっこよかった。

こんな事言ったらおかしいけど。



「そうなんだ。ねぇこれって?」



私は机の上の写真に目を突けた。


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