イチバンボシ
そうやってパパの実験のことを想像すると、わくわくする。


そして恐怖が一時でも忘れられる。


あたしは想像するのが好きだから。


考えれば考えるほど、いろいろな世界へ行ける。


それは気持ちよくて、今の嫌な場所から少しだけでも抜けられる。


夜になって、あたしは外の空気が吸いたくなった。


ずっと怖くて、テントの中にいた。


臆病なあたし。


事情を知らない人からすれば、今のあたしはひきこもりに見えるんだろうね。


滑稽だ。


笑ってくれればいい。


笑って、
こいつが国のために役立つわけないと、言い張ってくれればいい。
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