イチバンボシ
近くのお店まで帽子をかぶって行き、水着や濡れてもいいような服を買った。


そして海に飛び込んだ。


気持ち良かった。


こそこそと店に忍び込むのも。


勢いよく海に飛び込むのも。


海の冷たさを肌で感じるのも。


何もかも、逃げ回っているあたしたちを連想させなかった。




「うげっ。」

「どうしたの?」

「水飲んじまった…」




タクミくんがまずい、と言った顔をした。


なんであんな変な顔するんだろう。


水はこんなに透き通っているのに。
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