春夏秋冬物語

「で、結局会えたのか?」
「いや、まだ」
「ハンカチは」
「鞄に……」

佐久原の言葉に答えるように、鞄の中から例のハンカチを出す。
すると、ニノと佐久原は同時に盛大なため息をついた。

「な、何だよ」
「お前は一途な女子か!」
「痛ァあああ!?」

ニノに頭を叩かれる。
その威力は凄まじく、目の前に星が見えたほどだ。
ほ、本気だコイツ……。

「んな怒ることねえだろ!」
「今度は俺に蹴られたいか」
「さ、佐久原……。何でそんな怒ってんの……?」

二人して何でか怒っている。
その理由が分からない。
と思っていたら、答えが二人の口から出た。

「「それは出会いさえない奴への嫌味か!」」

あー、コイツら駄目だ阿呆だ。
一気に呆れた。
俺が窓の外を見てため息をつくと、ニノの拳が脳天に落ちた。
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