春夏秋冬物語
「ぐえっ!? ……ッ!」
「馬鹿にしたようなため息をつくな!」
「馬鹿にしてねえよ! 呆れて出ちまったんだよ!」
涙目でニノを睨むと、ニノは少しだけばつの悪そうな顔をした。
「それが本田の初恋なんだな」
「ああ。初恋ってか、唯一の恋?」
「まじかよ。お前付き合ったことねえの? キスは? まさかどうてむぐっ!?」
慌ててニノの口を塞ぐ。
ニノはいつも声がでかい。
クラス中の視線が俺達に集まる。
「……ったく、そんなことをでかい声で言うなよ!」
「んあ、すまん」
「ついでに俺四回付き合ってるし、キスもしてるしあれもやった」
「っつーことはあれか? 好きじゃないのにって感じか?」
痛い所を突かれた。
やっぱそういうのよくないよな……。