春夏秋冬物語
「だって断れないからさ……」
しょんぼりした顔で俺が言うと、佐久原が頭にチョップを喰らわしてきた。
「いっつ……! 何で頭集中砲火なんだよ!」
「お前の順位が落ちるようにだ」
「ひでえええ!? そんなの逆恨みじゃねえか!」
「逆恨みじゃない。立派な憎しみだ」
「そっちの方が怖えよ!」
ほんと佐久原は怖い。
下手すると生徒指導の先生より。
「宿題も課題も見せねえぞ?」
「それは困るな。縛り上げようか」
「何でそこいくんだよ!?」
もうやだ。泣きそう。
と、背が低い男子生徒が教室に入ってきた。
「あ、冬生くん!」
「稔。おかえり」
「うん、ただいま!」
益田稔。小学五年からの友達。
背が低く、まだ小学生くらいに見える稔は、外見とは裏腹に毒舌だ。
「何か盛り上がってたみたいだけどどうしたの?」
稔が大きな目で皆の顔を見回した。