春夏秋冬物語
第一章 妖精ってほんとにいたんだ
オレ・本田冬生は正直超やさぐれていた。
何度目になるか分からない、名前のことで同級生にからかわれたからだ。
「くっそー!」
誰も好き好んで冬なんて文字を名前に入れた訳じゃない。
親が勝手に入れたんだ。
それに運悪く、オレの誕生日はクリスマスイブ。
思いっきり冬ね、なんて夏姉ちゃんにもいわれた。
オレは夏が良かったのに。
むしゃくしゃして小石を蹴飛ばして歩いていたら、誰かとぶつかって、寒さと雪で凍った地面に盛大にひっくり返った。
「いってええええ!」
頭が地面にクリーンヒットした。
本気で頭が割れると思った。
「大丈夫!?」
不意に頭上から女の人の声が聞こえた。
痛みに顔をしかめながら上を向くと、
妖精がいた。
いや、頭がおかしくなってた訳じゃないんだって。
本気で妖精だと思ったんだって。
そんくらいその人は綺麗だったんだ。
妖精ってほんとにいたんだ。