春夏秋冬物語
「雪夜さん、は?」
恐る恐る訊いてみた。
心の奥では、さっきのような答えを望んでいた。
でも―――
「……嫌い、よ」
ずん、と心が重くなった。
慌てて笑顔を作るけど、引きつってるに違いない。
「そ、なんだ」
「―――冬生くん?」
どうしたの、と雪夜さんが心配そうにオレの顔を覗き込んだ。
「何でもないよ」
「そう……。じゃあ私は行くわね」
「うん。……また会える?」
オレがそう訊くと、雪夜さんは微笑みながら頭を撫でてきた。
「逢えるわよ、きっと」
雪夜さんと別れた後も、頭を撫でられたときの暖かさと大人の色っぽい香りはいつまでも離れなかった。