春夏秋冬物語
第二章 え、うそ、そんな苗字があるんすか?
「―――のである。はい、終了」
「んだそれ」
「それ何てエロゲー?」
話し終わった途端に二人に突っ込まれた。
一人おかしいけど。
どこにエロゲーの要素があったんだ。
俺は本田冬生。高一。
今は六月で、雪夜さんと会った日からもう五年以上経つ。
教室には俺達三人以外に四・五人しかいない。
今は昼休みなので、みんな学食にでも行ってるんだろう。
さっき普通に突っ込んだのは、ニノ井啓嗣。
エロゲーなんたらとか言ってたやつは、佐久原高介。
二人とも高校に入ってから出来た友達だ。
「っつか何で物語口調だったんだよ?」
ニノが訊いてきた。
「それはだな、読者の皆さんに分かりやすいように……」
「読者って誰だ。お前小説でも書いてるのか」
佐久原が言った。
コイツのツッコミはいつも冷たい。
「書いてねえけど」
「……ふむ、本田、やはり頭が狂っていたか」
「何だよその頭狂ってます前提は。正常に働いてんよ」
ムッとして言い返す。
冷静な口調で言うから、冗談に聞こえない。