スゴクスゴイコト〜花集




タバコの煙から離れたい俺は


禁煙席の窓側に座った


メニューを開き


1番安いドリアを頼み


お冷やを取りに席を立つ


最初気にしなかったが


隣の席に嬉しそうに


メニューを眺める


子供が気になった


恰幅の良い白髭を蓄えた


丸メガネのおじいさん


男の子と女の子の孫二人を連れて


夕食を食べに来ていた


ハンバーグやスパゲティー、


ドリアやピザを何度も眺め

純真無垢な笑顔を浮かべる

子供が羨ましく感じた


おじいさんも年甲斐もなく

「おじいちゃんは何食べよっかなぁ」などと孫と同じ目線で、はしゃぎながらメニューを選んでいた。


こんな時代が俺にもあった

思わず目頭を押さえた


あの頃の希望は眩しかった


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