スゴクスゴイコト〜花集




孫たちが店員にメニューをおじいさんの分も一緒に注文する。


日頃から慣れているようだ。


注文後すぐに孫たちはドリンクバーに向かった。


「おじいちゃんのも取ってきてあげるね」


おじいさんの手元には杖があった。足が不自由だからであろう。孫の優しさに、おじいさんは笑顔を零していた。



「ありがとうね」


平和な日常に溢れる幸せがこんなにも揺さ振られるとは思わなかった。



俺はガツガツとドリアを口に運んだ。これ以上この場所に居たら寂しくなる、泣けてくる。



今、幸せな時間に
俺は耐えられない。


水を喉に強引に流し込み、ナフキンで口を拭い会計の紙を掴んで立ち上がると大きな空が割れるような音に動きと心を止められた。


次々と沸き起こる音弾(おとだま)に店内の客は心躍らせた。


「わあ、綺麗な花火」



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