pain〜約束の梯子〜


「ハル起きなさい。今日から学校でしょ」



飽和状態の空間にモゾモゾと潜り込む。



…朝か。



朝の溌剌とした太陽の光は怖い。
侵食されそうで、僕をアンチにさせる。
『おばさん』の声で起きる朝も。
アラームで起きれない自分も。



軟弱な筋肉が、半義務的に僕の躰を持ち上げ、起きる。

そんでトイレ行ってシャワーして制服着て飯食って学校行って…って、今日から約2ヶ月間その繰り返しかと思い、この鬱状態を心地良く感じたりもする。



「母さん、この味噌汁おいしいよ」
「そう。お代わりする?」



別にあんたの為じゃない。
良い息子を演じてるのは、自分の為。



テーブルに、いつも用意されてる金を、僕がなんに使ってるかなんて『おばさん』知らないでしょ。

このバランスの良い朝食だって、一端胃に収めるだけで、途中の駅のトイレに棄てちゃうし。

全ては僕が僕でいられる為の術。



他人の労力から算出された紙幣を、自分の財布へと無言で入れながら、心的に病んでるな…。と、内心笑ったりして、生きながらにして死んでいる様な緩い自分に、眩暈した。


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