ハルオレ☆ -後篇-


「…う。まぁ、そうだよ!そう!止めてほしかったよ!少しくらいはな。」







渋々本音を認めると、ふてくされるように圭先生は両手を頭の後ろで組んだ。







「じゃぁ観奈ちゃんに止められたら別れないつもりだったのか?」








「いや、まぁ…そこは涙を呑んで別れますよ。」








「お前なぁ…。」







別れたいのか別れたくないのか。
どっちつかずの圭先生にヤマト兄は呆れた目線を送った。







「そんな目で俺を見るなよ!!はいはい。どうせ俺は自分勝手な男ですよー!!!」







圭先生は開き直るようにそう言い放つと、机に置いた缶ビールを手に持ち、グイッとお酒を飲んだ。







…とその時、『ガチャッ』という音と共に部屋の扉が開いた。







「よ!ヤマト!ただいま〜。」








扉を開けたのはスーツ姿に鞄を手にしているサラリーマンと思われる男性。








「…ってあれ?もっちゃんいるじゃん?」







「大樹―!」







圭先生の姿に驚いている男性におかまいなしに、圭先生はいきなり涙目をしてその男性に思い切り抱きついた。








その男性の名は、守城大樹(カミシロダイキ)。
なんでも貿易関係の会社に勤めているサラリーマンで、この寮の住人ではないがよくこの学生寮に遊びに来ている。







ちなみに大樹さんはヤマト兄の恋人。
俺もこの事実を聞いたときは、胸が裂けるんじゃないかと思うくらい驚いた。







大樹さんがこの寮に来るのはヤマト兄に会いに来てるのだが、よく圭先生や観奈と一緒に飲み会をしていることもしばしばある。
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