ハルオレ☆ -後篇-
「あ、あのその。せっかくのお言葉で本当にありがたいんですけど、やっぱり今日はあいさつだけにさせていただけないでしょうか?」
申し訳なさそうに高原さんが頭を下げる。
「あっ、もしかしてこの後用事がありました?」
ヤマト兄が尋ねると高原さんはコクリと頷いた。
「はい。まだ細かい引き継ぎとかが終わってなくて…この後理事長の元に戻らないといけないんです。また伺いますので、その時は是非ご一緒させてください。」
「え~こんな遅くまで仕事かよ。お前相変わらず真面目だなぁ」
大樹さんの言葉に『真面目だけがとりえでして』と高原さんは照れくさそうに笑った。
「えらいね~。そんなのサボっちゃえばいいのにさぁ。」
圭先生がのん気に言うと、余計な事を言うなというようにヤマト兄が圭先生の頭を叩く。
大げさに痛いと騒ぐ圭先生を無視しながらヤマト兄は高原さんの方に顔を向けた。
「あ、そうだ。それなら今度高原さんの歓迎会をしようと思いますので、その時他に住んでる寮の生徒達を紹介しますね。」
「えっ?歓迎会ですか!!?」
ヤマト兄の言葉に高原さんがすっとんきょうな声をあげる。
「はい。あっ…ご迷惑じゃなければですけど…。」
「迷惑とかとんでもない!嬉しいです!!」
「そうですか。じゃあ、また日にちが決まりましたらお伝えしますね。」
「はい。よろしくお願いします。」
高原さんは嬉しそうに頷くと『ではまた。失礼しました。』と言いながら頭を深く下げ、パタパタと走り去っていた。