ハルオレ☆ -後篇-
―――――その時。
彼方の瞳がガバッと大きく開いた。
その瞬間、物凄い勢いで後ろを振り返った。
なぜなら、彼方の後ろに一人の女子生徒が立っていたからだ。
彼方はゆっくりと息を飲み込み、女子生徒を見た。
女子生徒は呆然とするように彼方を見ては動揺した表情をしていた。
その女子生徒とは…。
「…し、室長…。」
室長。愛穂だった。
「あっ、あの私…ごめんなさい。立ち聞きするつもりは…あの…。」
愛穂の言葉に彼方が目を見開く。
「どこから?どこから聞いたの!?」
「い、痛っ!」
思わず愛穂の腕を掴んでいた彼方が慌てて手を離す。
「ご、ごめん。つい…。」
「うぅん。大丈夫。」
そう言葉を交わすと、2人の間にしばらく沈黙が訪れた。
「その…菅谷君。澤原さんのことで藤岡先生に脅されてるの?彼女が澤原財閥の…」
その沈黙を先に破ったのは愛穂だった。
彼女の言葉にグッと唇をかみ締めて彼方は叫ぶ。
「室長!!お願い。そのことは…」
そんな彼方が微かに震えているのに気づいた愛穂は強く首を横に振る。