ハルオレ☆ -後篇-
「大丈夫。言わないよ。」
「ほんと?」
彼方が少し胸をなで下ろすと、愛穂は『でも』と言葉を続け、
「でも1つ聞いていい?」
「え?」
「…その、菅谷君は澤原さんと…どういう関係なの?」
愛穂は少し言いにくそうにそう口にして、彼方から目線を外した。
「観奈とは…ただの幼なじみだよ。」
少し間をおいて、彼方は答える。
「そ、そうなんだ。…私、てっきり付き合ってるのかと思った。」
彼方の返答に、愛穂は一瞬安心したような笑みを浮かべた。
(……こいつ…。)
彼方はそんな愛穂の一瞬の表情を見逃さず、すぐに彼女の気持ちに感づき始めていた。
「で、でもなんで…その幼馴染みのことで菅谷君が脅迫されてるの?」
「……。」
愛穂の質問に彼方は黙り込んだ。
「あ、ごめん。それは話したくないよね。」
「うん。…ごめんね。それは…君には話せない。」
「…そうだよね…余計な事を聞いてごめんなさい。」
愛穂がシュンと顔をうつむかせると、彼方は首を横に振って笑顔を見せる。