ハルオレ☆ -後篇-
「大丈夫だよ。だけど…。さっきのことを他の誰かに知られたら、僕は…。」
彼方はそう言って愛穂から顔を逸らしたその瞬間。
「菅谷君!」
愛穂は芯の強いはっきりした声で、
「私、菅谷君が困る事は絶対しない!…さっきのこと、もちろん誰にも言わないわ!」
「室長…。」
「それに私…。菅谷君のためだったら…何でもするよ。」
そう顔を赤めながら漏らす愛穂のは真剣な瞳を彼方に向けていた。
(…やっぱり。この女…。)
その瞬間、彼方の口元がかすかにニィッと緩んだ。
「室長…ありがとう。」
突然、彼方が愛穂を抱き寄せた。
いきなりの彼方の行動に愛穂の身体が硬直する。
「すすすす、菅谷君?」
「本当にありがとう。聞かれたのが室長でよかったよ。」
彼方は抱き寄せた身体を離すと、今度はとろけるような微笑を愛穂に投げかけた。
「菅谷君…。」
顔を真っ赤にして愛穂は瞳をウルウルさせながら彼方を見つめる。
そのまましばらくの間2人は見つめ合うが、やがて彼方が目を細め、愛穂の顔に近づく。
「え?あ、あ、あの…!?…す…っ!」
そして、混乱している愛穂の震える唇を強引に奪った。