ハルオレ☆ -後篇-
突然キスをされて、愛穂は目を見開いて驚いたが、やがて受け入れるように目をつぶった。
そしてしばらく時が止まったように2人は唇を合わせ続けた。
「ご、ごめん!」
パッと唇を離し、彼方は愛穂から顔を背けた。
「え…あ、あの…。」
愛穂は彼方のキスで顔を真っ赤にして目を泳がしていた。
「あはは。室長が可愛くて…つい…しちゃった。」
「…うぅん。その…大丈夫。」
恥ずかしそうに小さく首を振る愛穂。
すると、彼方が愛穂の耳元で、
「今日聞いた事は僕と室長、2人だけの秘密だからね。」
優しく囁いた。
「うん。誰にも言わない。絶対に。」
彼方の言葉に愛穂は引き込まれるように強く頷いた。
そして彼方が微笑みながら頷き返すと、愛穂が急にじっと彼方の目を見て、
「菅谷君。もし困った事があったら何でも言ってね?一人で抱え込んじゃだめだよ?」
「室長…ありがとう。その言葉、すごく嬉しいよ。」
彼方がまたニコッと笑うと、さらに愛穂の顔が赤くなり、また目を泳がせて動揺し始めたが、
「その…菅谷君の力になりたいの。」
唇をぎゅっと噛んで、また真剣な顔を彼方に見せる。
「あはは。どうやら僕が頼れるのは室長だけみたいだね…。」
苦笑いをしながらも彼方は陽気に笑う。
「菅谷君…。」
「じゃぁ、僕はこれで。観奈を探しに行かないと…。」
彼方はゆっくりと愛穂の身体から離れる。