ハルオレ☆ -後篇-
『実はね…そろそろあの子を返してもらおうかと思って…。』
ガタッ!
美月がそう言った瞬間だった。
藤岡が突然その場で立ち上がった。
そんな藤岡の額からはうっすらと汗がにじみ出ていた。
「あ、あの子って……?」
『もちろん蘭藤荘にいる私の子供。』
「な、なんでまた急に?」
『きゅ、急にって。何?別にいいじゃない。ただこの2年間預けていた私の子供を返してって言う話だし。』
「う、うん…。」
『それに今すぐとは言ってないわ。近いうち、な話よ。』
美月の言葉に藤岡はゴクリと息を呑んだ。
「…でもさ。姉さん。預かった僕が言うのもなんだけど…その…。あの子を返すのは正直難しいと思うよ。」
『……まぁ、そうでしょうね。』
「…たぶん家に戻ることを簡単に了承するとは思えない。たとえ僕が頭を下げてもたぶん無理だと思う。」
『……ふふ。慎太郎。別にあなたに無理矢理あの子をうちに返せなんて言ってるわけじゃないのよ?』
「え?」
藤岡は美月の意味ありげなその言葉に首を傾げる。