ハルオレ☆ -後篇-
するとその瞬間、俺の身体が彼方の手から離れ開放される。
俺は少しヨロめきながら体制を整え終える頃には、彼方は俺に背を向けて、
「あ。観奈、僕は先にお風呂に行くからさ。」
と、観奈に一言言うとそのまま歩き出す。
「え?あ、ちょっと待ってよ。彼方。私も…。」
突然の彼方の言葉に観奈は焦り、後を追おうとすると、彼方が振り返る。
「あ、いいよ。やっぱり今日は僕一人で入るから。」
「はぁ?なんでよ?」
観奈は納得いかなさそうな顔をしているが、そんな彼女に彼方はため息を一つ。
「やっぱり気分が変わったんだよ!ごめんだけど、先に入らせて!」
彼方は少し投げやりにそう言って、『じゃあね』と手を振るとそのまま入浴場の中へと入っていた。
***************
「……彼方。」
観奈は悲しい表情を浮かべていた。
理由もわからず先に行ってしまった彼方のことを心配しているのだろう。
「観奈。」
背後から西川さんが観奈の肩を軽くポンと叩いた。