ハルオレ☆ -後篇-
「理事長。少し落ち着いてください!」
錯乱する藤岡に芭悠里は席を立ち駆け寄った。
「駄目だ。駄目なんだよ!僕は姉さんには逆らえないんだよぉ~~。昔も今も~~。ああああああ~~~!」
さらに頭を抱えながら首を左右に振って嘆く藤岡に芭悠里は咳払いをし、
「恐れ入りますが、理事長…。なんのためにこの秘書である私がいると思っているんですか?」
と一度頭を深く下げ、胸に手を当てて真剣な瞳で藤岡を見た。
「ううう…芭悠里ぃ?」
芭悠里の言葉で顔を上げた藤岡の目には涙がちょちょ切れていた。
そんな不安そうな藤岡に芭悠里は微笑む。
「全てはわたくしにお任せ下さい。ですから大丈夫ですわ。」
「…。」
すると藤岡は落ち着きを取り戻したのか、ゆっくりと深呼吸をして、
「分かった。君を信じるよ。…協力お願いしてもいいかい?」
と背筋を伸ばし芭悠里を見上げた。
「はい。喜んで承らせていただきます。」
芭悠里はゆっくりと頷く。
・・・・・・・いったいこれから何が起こるというのだろうか。
そう・・・。
この時、まさかこれから大事件が起こるだなどと誰も思うよしもなかった。