ハルオレ☆ -後篇-
「チッ。腐ったメス豚じゃん。久しぶりに見たな。」
一瞬にして男声に戻った宇宙の声と態度は、それはそれは冷たいものだった。
こんな態度をとられたら、確かに俺でも周りの女子生徒たちみたいにうかつに宇宙に喋り掛けれないと思う。
しかし流石と言うべきか、はたまたそんな態度を取られることに慣れていらっしゃるのか、西川さんは気にすることなく話を続けた。
「あのですねぇ。その呼び方は止めてくださるって何度も…」
「ふわぁー。あー眠い。ダルイ。」
宇宙は西川さんが話しているにも関わらず、大きなあくびをする。
「ちょっと人の話を…。」
宇宙に無視された西川さんがさらにそう言い掛けた瞬間、
「何?寝不足?」
彼方が西川さんの言葉を遮るように宇宙に話しかけ、隣に並ぶ。
----と、この時。周りの女子生徒の歓声がさらに高まった。
皇帝と呼ばれる宇宙と、王子様と呼ばれる彼方。
この二人が並んでましてやツーショットで歩いてたら、そりゃあ騒ぎたくなる気持ちもわかる。
「そう。実は今さっきこっちに戻ってきたばかり。時差ぼけが…」
宇宙は幾度となり日本中、時には世界へと仕事の関係で飛び回っている。
「えっ?海外に行ってたの?」
思わず宇宙の話に反応してしまった俺。
「だから人の話をー…」
まだ諦めてないのか、西川さんが俺の真横から顔を出した。