ハルオレ☆ -後篇-
part5 異変とすれ違い
「…で、何?いったいどうしたのよ?」
初めに口開いたのは観奈だった。
すると彼方は、
「やりすぎ。」
一言で返答した。
「え?」
観奈が理解できず眉を寄せると、彼方が呆れたようにため息を落とす。
「…って言うより目立ちすぎって言ったほうがいいかな?」
「何よ?目立ちすぎって…?」
「あれ?自覚してないの?」
「はぁ?自覚?何がよ?」
突然『目立ちすぎ』と言われても観奈のほうは身に覚えがない。そんな感じだった。
「あ〜あ。やっぱり何も変わってないね。」
「もうだから何だって言うのよ?私にも分かるように言って?」
なかなか本題に入らない彼方に観奈はムッとして声を張り上げた。
「じゃあ、言うけどさ。君、気づいてる?『澤原家の人間として完璧に振舞うこと』って教えが今も身体に染み渡ってるってこと。」
「え?ウソ?」
「ほら、気づいてない。やっぱり自覚症状ないじゃん。」
彼方にそう言われて、観奈はそのままハッとして黙り込んだ。