ハルオレ☆ -後篇-
「…はぁ。あ〜〜〜〜もうめんどくさい!!」
突然彼方がそう叫んだと思った瞬間、彼方は何も言わず歩き出す。
「…か、彼方?」
「ちょっと!どこ行く気ですか!?」
俺達の間をすり抜けていく彼方に声を掛けるが、
「あーもううるさいうるさい!…ほんとお前らめんどくさい。」
「カニャリン…。」
「…もうお前らに怒る気も失せた。僕は帰る。」
「か、帰るって観奈はどうするんだよ?」
「知らないよ。どこに行ったかもわかんないし、蘭藤荘はそんな遠くじゃなないから一人でなんとか帰れるだろ?」
彼方はそう言うと再び俺達に背を向けて歩き出す。
「ええ!?それで大丈夫なわけないでしょ!?」
「な、何それ!ちょっと腹黒王子!!それ勝手すぎます!」
西川さんと宇宙が呼び止めるようにそう言うが、彼方は返事をすることも足を止めることもなかった。
「も〜!まだこっちの話は終わってないんだから!待ちなさいよバカー!!」
西川さんの声が響き渡る中、彼方はそのまま俺達の前から姿を消した。
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「……あ〜あ。行っちゃったわ。」
急に静かになったその場に、宇宙が呆れて口開いた。