肉きゅうを触らしてくれるなら

それから会話もなく食べ終わり、それぞれの職場に戻る。デートの中止はよくある。でも気にならない。休みはけっこうかぶるし、今に始まったことではないから。


帰り際に友人………いや、友猫がいつもどおり柿の木のある家の塀の上で寝ていた。足を止めて話しかける。


「やぁ。私の友人よ。」


反応なし。背中を撫でても威嚇はされない。なら肉きゅうも…、と思い手を伸ばしてみた。しかし、威嚇されてしまった。


「撫でるのはOKでも肉きゅうはNGなんですか?」


しっぽがゆっくり揺れる。

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