肉きゅうを触らしてくれるなら


「パスタがいいな。」瞼の裏にいる彼もそう言った。


パスタ…作ってあげるよ。


眠りかけていた目が覚めた。彼の家に一番近いバス停が目の前に迫っていた。急いで停車ボタンを押す。バスから降りて近くのスーパーへ急いだ。


いつだろう、彼に作った手料理の中で一番パスタが好きと言われた。ちょっと工夫を加えただけの普通のパスタだけど。


「また食べさせてよ。」そう言ってお皿を流しに持っていく彼の背中をしっかりと覚えている。


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