肉きゅうを触らしてくれるなら

スーパーで材料を買い、彼のマンションへと急ぐ。


何故かふいにパスタを作ってあげたくなった。詳しく理由を聞かれても答えれことはできない。だって、何故かふいにだもの。


マンションの前についた。オートロックじゃない。合鍵は持っている。エレベーターに乗り、四階のボタンを押す。閉じかけたドアが開き、親子連れが入ってきた。


子供は私をじっと見ている。目が合うとにっこりと笑ってくれた。なのに、笑い返すことができない。何故だろう。別に悲しいわけではない、苦しいわけでもない。なんで?

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