しゃぼんだま
「瑠李会長、こんな時間までもしかして仕事?」
「…せやで」
「お疲れ様っ」
そう言って聖は微笑んだ。
「そんな顔してもうちは惚れへんで」
「別にそういうつもりでやったんじゃないんだけど?もしかして会長、照れてる?」
「何でうちがお前に照れなイカンのや!うちは男が嫌い言うとるやろ!」
「そのわりには普通に男と喋ってるじゃん?」
そう言いながら聖は自分を指差した。
「…無視はようないからな」
「瑠李会長もちゃんと人の事考えてんだ。優しいね、会長は」
「お前、瑠李会長か会長かどっちかに呼び方統一せぇや」
「ん~…じゃあ、瑠李会長にする」
「……っで、聖は何でここにおるんや」
「何でって…寝てた」
「寝てたって…はよ、自分の家に帰れよ」
うちはそれだけ言い残して保健室を出た。
廊下に出るとちょっと冷えるな…
もう秋やもんな。
うちは手を軽くさすりながら昇降口に行き、靴を履き替えて門を出た。
「肌寒いな…」
真っ暗な道を明るく照らすのはたった二、三本の街灯。