しゃぼんだま


道は明るいと言うよりは薄暗い。


たまに前から車が走ってくる。


電柱の横には“変質者注意”の看板がある。


やっぱり、一人はちょっと怖いな…


うち、お化けとか駄目なほうなんよ…せやから、遊園地とか行ってもお化け屋敷だけは絶対に入らんのや…


人がやってるって分かっとっても怖いんよ…


すると、うちの背後から誰かの足音が聞こえてきた。


…き、きっと犬の散歩しとる人やろ…


こんな所でお化けなんか出てたまるかやもんな…


大丈夫や…犬の散歩しとる人や…


せやけど、うちの歩く速度は速くなっとった。


心なしか、後ろの足音もうちの歩いとる速度に合わせて早くなっとる気がする…。


ま、まさかな…


うちが立ち止まると後ろの足音も消える。


そんでまた、歩き出すと後ろの足音も聞こえてくる。


…きっと空耳や…


それか、うちの足音が響いとるだけや…


うちは鞄を両手で抱えて駆け足した。


すると後ろの足音も駆け足になった。


な、なんや!何で向こうも走るんや!


キモいで!これはお化けやなんかない…


こいつは…変質者や!
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