君を愛した
夕食を食べ終え、後片付けも終わり、帰宅の準備をする。
「また、いつでも来てくれ。」
「うん。」
「香凛さん。蓮をよろしくお願いします。」
『はい。』
私たちの姿が見えなくなるまで見送ってくれたお父さんとお母さん。
蓮にお母さんと呼ばれた美咲さんはとても嬉しそうだった。
『素敵な夫婦だね。』
「うん。俺らもあんな風になりたいな。」
『うん。』
「俺さ、父さん大好きだったんだ。だからなんで俺を置いて行っちゃったんだろう…って思ってた。何度も会いたいって思ったけど怖くて会いに行けなかった。」
『うん。』
「もっと早く会いに行けばよかった。」
『………うん。』
「会いにいってよかった。」
無性に蓮を抱きしめたくなった。
だって、蓮が泣きそうな顔をしてたから…。
蓮に向かって両手を広げる。
「ん?」
『私の胸貸してあげる。』
「え?」
『泣いてもいいよ。』