君を愛した
「行くぞ。」
『うん。』
お兄ちゃんと腕を組む。
そして、扉が開く。
二人で、歩き出す。
ゆっくり歩いていく。
愛しい人のもとへ。
少しずつ近づいていく。
「倉原、香凛を頼んだぞ。」
「はい。」
お兄ちゃんから腕を離し、蓮の腕に絡ませる。
「新郎、倉原蓮。あなたは、春瀬香凛を妻とし生涯愛し続けることを誓いますか?」
「はい。誓います。」
「新婦、春瀬香凛。あなたは、倉原蓮を夫とし生涯愛し続けることを誓いますか?」
『はい。誓います。』
「では、指輪の交換を。」
蓮が私の指に指輪を通す。
ニコッと笑う蓮。
そして、次は私が蓮の指に指輪を通す。
「それでは誓いのキスを。」
蓮が私のベールをそっとめくる。
「香凛、愛してる。」
『私も愛してる…。』
そう言って、蓮は今までで一番優しいキスをした。