君を愛した


「行くぞ。」



『うん。』


お兄ちゃんと腕を組む。



そして、扉が開く。




二人で、歩き出す。



ゆっくり歩いていく。



愛しい人のもとへ。



少しずつ近づいていく。



「倉原、香凛を頼んだぞ。」



「はい。」



お兄ちゃんから腕を離し、蓮の腕に絡ませる。



「新郎、倉原蓮。あなたは、春瀬香凛を妻とし生涯愛し続けることを誓いますか?」




「はい。誓います。」



「新婦、春瀬香凛。あなたは、倉原蓮を夫とし生涯愛し続けることを誓いますか?」




『はい。誓います。』




「では、指輪の交換を。」



蓮が私の指に指輪を通す。



ニコッと笑う蓮。



そして、次は私が蓮の指に指輪を通す。



「それでは誓いのキスを。」




蓮が私のベールをそっとめくる。



「香凛、愛してる。」



『私も愛してる…。』




そう言って、蓮は今までで一番優しいキスをした。




< 107 / 124 >

この作品をシェア

pagetop