君を愛した
手をつないで屋台並ぶ道を歩く。
『あ、唐揚げ串。』
「食べる?」
『うん。』
「唐揚げ串2本ください。」
「はいよ。」
「ありがとうございます。はい、香凛。」
『ありがとう。』
「っはは。」
『何がおかしいの?』
「お祭りに来たら、りんご飴とか綿飴とか食べると思ったら唐揚げ串って。うける。」
『……どっちも嫌いなんだもん。』
「そうなんだ。なんか香凛っぽい。」
『何それ。唐揚げうま。』
「それはよかった。」
「あれ?……もしかして春瀬?」
『…?』
誰だっけ?
思い出せない。
「香凛?誰?」
『いや、覚えてない。』
「白石真人。」
『あ。』
白石真人。中学時代に気になっていた男子。
「春瀬、雰囲気変わったな。」
『中学卒業してから4年も経つし…。』