君を愛した


リビングに通される。



「どうぞ。」



そう言ってお茶を出してくれた美咲(ミサキ)さん。



蓮のお父さんの再婚相手は美咲さんと言うらしい。



「ありがとうございます。」



『ありがとうございます。あ、あの、申し遅れましたが私、春瀬香凛と申します。』




「香凛さん……今、蓮太さんを呼んできますね。」




しばらくして、美咲さんと男の人が来た。



「蓮……久しぶりだな。」



「父さん…。」



いきなり蓮のお父さんは蓮を抱きしめた。



「ずっと引き取りに行こうと思ってたんだ。なかなか会わせてもらえなくて…。蓮が高校生になるときに会いに行ったら、アイツも蓮もどこにいるか分からなかった…。」



「父さん…。」



「ごめんな。蓮。」




「この人ずっと蓮くんのことを気にかけていたのよ。私は体が弱くて子供が産めなかったの…。だから蓮太さんの子供は蓮くんだけよ。」



「……そうですか。」



ホッとしたような表情の蓮。



「そちらの方は?」



蓮のお父さんが私を見た。



「俺の婚約者だよ。」



『初めまして。春瀬香凛と申します。』



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