流星ラジオ
羽美はさっきまで手紙を書いていたテーブルにそっと触れる。
ここで海月とご飯を食べた。
向かい合って話をした。
2人で笑いあった。
この記憶があるから、待つことができる。
彼にとって自分は都合のいい女でしかないのかもしれないけれど。
羽美は海月をそんな風には思えなかった。
「海月はきっと戻ってくる。何か事情があって独りで出て行ったんだから、仕方ないよ」
何歳になっても待つ。
30歳を超えても、白髪だらけになってしまっても。
羽美はきっとこの時間から動けずにいるだろうから。
「私は、そんな海月を好きになったの」
しつこいだけだろうと嘲笑う自分がいる。
もう少しだと自分を奮い立たせる自分がいる。
時間や距離に負けたくはなかった。
そんなものでは断ち切れないものもあるのだと、信じたい。