流星ラジオ
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それは一緒に住み始めてすぐのことだった。
「あれ、そういえば海月って何が好きなの?」
同棲を始めてからようやく、羽美は海月のことを何も知らなかったのではないかと思い始める。
訊かれた当の本人はあぐらをかいて天井を見上げ、ぼぅっと遠くを眺めた後にようやく呟いた。
「…シチュー」
「シチュー?」
海月がこくんと頷く。
「カレーより優しい味がして、好きなんだ」
実に海月らしい理由だな、とは思った。
もっと凝ったものを挙げるのかと思っていた羽美は、内心ホッとする。