流星ラジオ


ベンチに座る彼の隣に、羽美も腰を下ろす。

「羽美。上見て」

言われた通り上を見上げると、そこには眩いばかりの星空があった。

「ここは街灯も少ないし、星がよく見えるんだ」

彼が星を指差しながらひとつひとつ説明をする。

けれど彼女は、星の説明よりも彼の横顔に夢中だった。


いつも優しく目を細めて笑う海月が、小さな子供のように声を弾ませて話している。

そこには普段の冷静さや大人っぽさはなかった。
そんな彼も、とても魅力的だった。

あの時の彼の話で覚えていることと言えば…。


「みんなもったいないことをするよね」

澄んだ声で彼が呟く。
彼女には彼の言わんとすることがよくわからなかった。

首を傾げる彼女に、彼が続ける。


< 58 / 85 >

この作品をシェア

pagetop