流星ラジオ
「海はこんなに近くにあるのに」
彼女はきょろきょろと辺りを見回したが、当然海はどこにもない。
そんな彼女をそっと抱き寄せて、海月は空を見上げた。
「夏でも冬でも見ることができて、静かで広くて。
こっちの海の方がずっと素敵だと思わない?」
そこまで言われてようやく理解する。
彼はこの星空と海を重ねていたのだ。
「…うん、綺麗」
静かに細められた彼の目に吸い込まれそうになりながら、羽美はやっとのことでそれだけを呟いた。
確かに星空は綺麗だったけれど、彼の方がよっぽど綺麗だった。
けれどそんなこと、言えるはずも無かった。
「流れ星にまつわる噂、知ってる?」
「…人が死ぬと星になるっていう噂は知ってる」
星に関する数少ない知識を披露してみたが、彼には苦笑されただけだった。