流星ラジオ


羽美のもとを離れてからは、とにかくがむしゃらに仕事をした。

自由時間はもちろん、睡眠時間も極限まで削った。


目の下には常に隈ができて、周囲に心配されるまで。

それほどにのめりこんだ。
そうでないとやっていけなかった。

彼女がいない空白を埋められるわけがないとわかっていても、作業をしていないとつぶれそうだった。


知らなかった、気付かなかった。
羽美から離れることがこれほどつらいということに。

「クラゲ、だもんなぁ…」

以前は恥ずかしいだけだったこの名前。

彼女と出逢ってから、その意識は格段に変わった。


羽美にはありのままの自分を受け入れてもらえた。

彼女の側でなら、楽に呼吸ができた。


***


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